脂質異常症というのは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪(代表的なものはトリグリセリド)が、多過ぎる病気のことです。血液中にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質があります。これら4種類の脂質のうち、多過ぎると問題なのは、コレステロールと中性脂肪です。脂質異常症(高脂血症)には、
の3タイプがあります。
血液中のLDLコレステロール(悪玉)が多過ぎると、動脈の壁にくっついて動脈が厚く硬くなり動脈硬化が進行します。
中性脂肪は、それ自体は動脈硬化の原因にはなりませんが、中性脂肪が多いと、HDLコレステロール(善玉)が減って、LDLコレステロール(悪玉)が増えやすくなり、動脈硬化の原因となります。
脂質異常症(10から12時間以上絶食の空腹時採血)診断基準
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
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120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド | 150mb/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
脂質異常症の診断基準は、動脈硬化性疾患の予防を主たる目的として設定されています。
遺伝的な要素とアルコールや、食事習慣、運動不足などの生活習慣が大きく関与しています。
はっきりした自覚症状がないため、健康診断などで血液検査をしてわかることが多いです。
治療の目的は、脂質異常症を放置すると、増えた脂質によって血管内を傷つけ動脈硬化を進行させます。動脈硬化が進行すると、心臓、脳、腎臓などをはじめ血流が多い所の血管に病気が発症します。そうなると、生命維持に悪影響が生じます。
治療には、1.非薬物療法として生活習慣の改善です。具体的には、適度な運動とアルコール摂取を控えた食事療法です。どちらも、短期間ではなく継続できる範囲の長期間継続することが必要です。2.薬物療法は、最低3ケ月以上、非薬物療法を継続してから当院では空腹時(前日の夕食を摂取してから朝食は摂取せず、水分やお茶は摂取が可能ですが、ジュースなどの果糖が含むものは控え、コーヒーや紅茶に砂糖やミルクなど入れない場合は摂取可)の状態で血液検査を実施して、作用が得られなかった(上記診断基準までに数値の改善が見られない)場合には、薬物療法を導入を検討していくことになると思います。